ジャパンケアグループの発祥は、札幌市豊平区月寒にあります社会福祉法人立の特別養護老人ホームです。23年前の老人ホームというのは地域から孤立し、閉鎖的な状況の中に置かれていました。そこで私共は、地域の方々に社会福祉法人について理解してもらい、施設への理解を深めてほしいと考えました。
その目的の一環として、毎年一回、市民の方々へのアピールや理解を深めていただく方法の一つとして、シンポジウム、及び講演会を開催してまいりました。20年前に、札幌市のロイヤルホテルで認知症についてシンポジウムを開いたのが始まりでした。その後は時には東京で、時には札幌で続けておりました。当初、私共は社会福祉法人のみを運営していましたので、社会福祉法人の主催にてシンポジウムを開催しておりましたが、そのうちに学校法人ができ、株式会社ができましたので、しばらくしてジャパンケアグループが主催するようになり、そして六年前より私達のグループで財団法人を持つ事になりましたので、財団法人が主催する形にてシンポジウムを行っております。
今回は第20回目と、一つの区切りでもありますけれども、今年の企画は今までとは性質が異なるものとなりました。一つには、今回はジャパンケアグループの職員を対象にし、一部私共と同じ介護の仕事をしていらっしゃるアクティブケア社とケアスタッフ社の方をご招待しております。
実はこのシンポジウムの節目の年に、ジャパンケアグループとしましても大きな節目を迎えました。
それは明日竣工となり、10月に札幌市豊平区月寒に介護付有料老人ホーム『天』をオープンさせることです。この『天』は、私共ジャパンケアグループのソフトとハード両面における集大成としたいと考え、作り上げたものです。この『天』の開設を記念し、今回のシンポジウムをジャパンケアグループ職員限定で行うこととしました。
私共のグループの発祥は、特別養護老人ホームでした。この20数年の激動の中で、高齢者介護に関する様々なものが変わっていきましたが、今一度初心に戻り、特別養護老人ホームや社会福祉法人について、社員みんなで考える機会を設けたいと考えました。私どものこの意図に、これ以上ないという講師の方々をお招きすることができました。
石原美智子先生は、私たちのシンポジウムに何度か講師としてご講演をいただいております。私共と石原先生の交流の始まりは、幸栄の里を設立する前でございました。老人ホームをつくる際に、どこへ勉強しに行くべきかと訪ねたところ、勧められたのが、石原先生が運営している岐阜県にある「サンビレッジ新生苑」でした。そこで私共は、介護の可能性と介護の必要性を学ばせていただき、深く感動を覚えました。以来、石原先生について勉強し続けているのです。そういったいきさつ以上に、石原先生の「サンビレッジ新生苑」は、日本の老人ホームのありかたを常にリードし続ける存在である事は疑いようがありません。
もうお一方、市川禮子先生です。本日は最初にご講演を頂きます。市川先生との交流は、幸栄の里を大規模改修した時が始まりです。その際にユニットケアにしたいと職員から声があがり、ユニットケアの勉強をできるところを探していたところ、市川理事長のきらく苑をご紹介いただきました。その時には、無理に無理を重ねて頂き、幸栄の里の施設長や介護の責任者と一緒に泊り込み、何度にもわけて見学と研修をさせて頂きました。ユニットケアのソフトとハードの合体におけるすばらしい介護展開を、きらく苑では実践されておられます。ユニットケアのみならず、グループホームも含めて、今の日本の高齢者介護の先端を走っているということもあり、きらく苑に憧憬の眼差しをむけている介護職員も多いのではないかと思います。
そして三人目は村田幸子様です。村田様のお声やお顔をTVやラジオでご存知の方も多いかと思います。元NHKの解説委員でいらっしゃいます。現在は福祉の分野におけるフリージャーナリストとして活躍されておられます。これまで培われた取材経験から、福祉について豊富な知識をお持ちです。私共ジャパンケアグループの取材も何度か行っていただいておりまして、そのたびに激励と示唆を与えていただいております。
本日この機会が、参加者全ての学びとなり、明日からの実践の糧となる事を願い、主催者としての挨拶とさせて頂きます。
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